【短編】また会える日まで、君の幸せを願う


私の名前は、花島 香穂(ハナジマ カホ)。
お花が大好きな、大学2年生。
大学進学に伴い18年過ごした地元から
親元を離れ1人東京に上京してから早くも1年が経った。

ちょうど1年前、初めてきた土地で右も左も分からずアパートに向かっている途中で道に迷っていたところを、優しく手を差し伸べてくれて助けてくれたのはお花屋さんの店主の三園さん。

年にするとおよそ10個上の三園さんは、お母さんのようにすごく優しくて、私の荷物を半分持ってくれたり、たくさん話しかけてくれたりして、すぐに打ち解けた。

その後三園さんとはプライベートでよくあっていたのだが、世間に謎のお花ブームが到来して、GWには行列ができるほど繁盛したことがきっかけとなり
社会経験も兼ねて、GW明けからこのお花屋さんで働き始めた。


リンリン♪
「「いらっしゃいませ!」」

ベルが鳴って、コツコツという規則正しいヒールの音と共に、淡いグリーンのロングスカートを履いた上品なお姉さまが近づいてくる。


「かほちゃん、こんにちは!今日もおすすめの花束、軽めで作ってくれるかしら?」
「わぁ〜!!こんにちは、サキさん!
今月もおすすめコースですね、お任せください!」

彼女は、サキさん。
去年の8月ごろに、私が初めて担当したお客様で、毎月5日に花束を注文してくださる。
軽めというのは、使うお花は少なめで、という意味。

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