最初で最後の恋をする
「みやび」
「何?」

「冴木のこと、どう思う?」

「何?唐突に」

「質問に答えろ」

「とっても素敵な、お兄様みたいな人よ」

「“素敵”か…」

「うん」

「冴木、こっちへ来い」
「はい」
冴木が、父親の隣に座る。

「な、何?」


「冴木は、みやびの婚約者だ」


「━━━━━え……!!!?どうゆう…こと…?」

「冴木をみやびの執事につけたのは、将来の夫になる男だからだ。
冴木は元々、俺と共同で経営しようとしていた親友の息子でな。そいつが病気で亡くなって、俺と母さんが引き取った。
冴木ならみやびを幸せにできると母さんと話して、冴木にみやびを未来の嫁にしてほしいと頼んだんだ」

「みやび様、僕は貴女を幸せにする為にお傍で必死にお守りしてきました。
僕は貴女が好きです。
もちろん、みやび様が以前聞いてこられた“好き”という感情です」

「え?じゃあ…あの時言ってた、想い人って……私?」

「はい。確かに、最初旦那様と奥様にお見合いの話を聞いた時は、かなり驚愕しました。
でも、みやび様と過ごしてる内に本気で好きになったんですよ」

「でも、私は……」
みやびが膝の上で服を握りしめ俯く。


「━━━━━旦那様、みやび様。
僕からも一つ宜しいですか?」

「なんだ?」

「みやび様が卒業するまでの二年間。
僕は必ず、みやび様の心を手に入れます。
旦那様から言われたからではなく、僕自身がみやび様を愛してるから。
でも、もし……それでもみやび様の心が手に入らなかったら、きっぱり身を引きます!」

「冴木…」
「冴木、お前……」

「それなら、厘汰様も正々堂々とできるのでは?」

「………わかった。冴木がそう言うなら、その時は俺も受け入れよう」



そして━━━━━
その日のうちに冴木は厘汰の元を訪れ、全て告白する。

「へぇー、それでみやびは何て言ってんの?」
「受け入れてくれました。
厘汰様、今僕達は同じスタートラインにいます。
みやび様にとって、貴女も僕も信頼できる男」

「そうだな。でも急にどうしたの?あんなに別れさせようとしてたじゃん!」

「貴方が、純粋にみやび様の“幸せ”を願っているのがわかったからです」
「そう」
「今までの男性は、國枝という名前しか見てなかったから。でも貴方は違う…だから、正々堂々と戦えると思ったから」

「そうだな。みやびは渡さねぇよ!!」
厘汰が冴木を見据える。

「望むところです!」
冴木も微笑み見据えた。
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