【短編】追憶


ノートを確かめて、やっぱりそうだと確信を得た。

「……一生、大切にします。
私の大切な人」

これは、きっと記憶のなくす前の私が伝えたかったことだと思う。

し、それに、私も、彼に会って
心の底から伝えたくなった。


笑いかけると、大きな瞳に涙を溜めて、

彼は何度もありがとう、と呟いた。




「やっぱり、大好きです、
あなたじゃなきゃ、だめです

支えます、今度こそ、ちゃんと守ります

だからもう一度、
付き合ったください」

泣き止んだ彼は、そう言って勢いよくお辞儀した。

その姿が面白くて、つい、ふふっと笑いが溢れた。


「よろしくお願いします」

なぜだかわからないけれど、
彼の言葉は信じられると思った。



ノートを開いて、
彼の名前と、情報を書き込んだ。

新たな始まりと共に、
哀しみたちとさよならをしよう。




Fin.
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