俺の世界には、君さえいればいい。
それからの毎日は。
櫻井くんと出会う前の日々よりも、ずっとずっと寂しいものだった。
「ったく、最近どこか抜けてるんじゃないか?もうすぐ2年になるんだぞ。留年するか?」
「…しないです、」
「なら授業態度、気をつけろ」
「…はい」
地味に目立たず生きていた私は、ここまで先生に注意されたことなんか無かった。
なにやってるの、ちゃんとしなくちゃ…。
「かなの、今日もお弁当ナシ…?」
「…うん。食欲がなくて…」
「だからって野菜ジュースだけじゃ倒れるでしょ。見てるあたしが心配になってくるんだってば」
「ご、ごめんね…。でもこれしか喉に通らないの」
家では心配かけさせまいと、出されるご飯はちゃんと食べている。
それでもかなり無理してて、だから学校ではあるがままに過ごしていた。
お母さんとおばあちゃんには「当分は購買で買いたい」なんて嘘を言って。
「それじゃあムッツリプリンスが心配して飛んでくるよー?」
「…もう…来ないよ、」
「……」
学校でも極力すれ違わないようにしているのは、私。
それでも鉢合わせてしまうときは目を合わせないようにしてる。