俺の世界には、君さえいればいい。
周りからどんなに冷たい言葉を言われたって、それが当たり前だよねって無理やりにも妥協して。
「っ、ぅぅ…っ、うぅ…、っ、あんなこと……言いたくなかった……っ」
「…うん、」
「櫻井くんに嫌われちゃった……っ、ほんとうは、離れたくなかった…っ、ずっと、一緒に……いたかった……っ」
釣り合わないのなんか最初から知ってた。
初めて櫻井くんが私の家に来て挨拶を交わしたときから、どうして?ばかりだったから。
それでもあんなにも優しい顔をしてくれて、あんなにも微笑みかけてくれて。
たとえそれが“しきたり"の上に成り立っていたものだとしても、私はそれで十分だったの。
「なんでひとりでぜんぶ背負って我慢してんのよ…っ、バカ……!!」
「だって…っ、だってっ、私のせいで…っ、櫻井くんやゆっこに迷惑がかかるから……っ」
「そんな迷惑なら喜んで受けてやるわ……!!」
たくさん泣いて、たくさん責められて。
その分たくさんの気持ちを伝えて。
そうしていると、どうして泣いてたんだっけ?なんて顔を見合わせて笑い合って。
メイクが取れたと嘆くゆっこへ、「しなくても可愛いよ」と言ってみる。