俺の世界には、君さえいればいい。




「まぁ由比さん!久しぶりじゃない!」


「あら前田さん!どうかしたの?具合でも悪いの?」



ここは病院だよ、おばあちゃんたち…。

知り合いに会えばところ構わずこの調子なんだから。



「ううん、主人の血圧が高くてね~。定期検診でしょっちゅう同行してるのよ」


「それは大変ねぇ、お酒ばっかり飲んでるんじゃない?」


「そうなのよ~!まったく困っちゃうわ…」



とりあえず私は広々とした待合室にて、長話の始まったおばあちゃん達から少し距離を取って座った。


平日だとしても思ったより混み合っている。

やっと診察されたと思ったら、今度は会計に待たされるのだ。


こういうときの時間のつぶし方には慣れてない私だから困る。



「お隣、いいかな」


「えっ、あっ、どうぞ…」


「ありがとう」



すごく綺麗な女の人…。
お母さんと同じくらいの年齢かな…。

入院服を着ている女性は、きっとこの病院に入院しているんだと。


その人は私の隣にストンと腰を落とした。



「…白栄(はくえい)高校の生徒さん?」


「あっ、そうです、」


「私の…知り合いも、そこの生徒なんだ」



< 198 / 253 >

この作品をシェア

pagetop