俺の世界には、君さえいればいい。
「まぁ由比さん!久しぶりじゃない!」
「あら前田さん!どうかしたの?具合でも悪いの?」
ここは病院だよ、おばあちゃんたち…。
知り合いに会えばところ構わずこの調子なんだから。
「ううん、主人の血圧が高くてね~。定期検診でしょっちゅう同行してるのよ」
「それは大変ねぇ、お酒ばっかり飲んでるんじゃない?」
「そうなのよ~!まったく困っちゃうわ…」
とりあえず私は広々とした待合室にて、長話の始まったおばあちゃん達から少し距離を取って座った。
平日だとしても思ったより混み合っている。
やっと診察されたと思ったら、今度は会計に待たされるのだ。
こういうときの時間のつぶし方には慣れてない私だから困る。
「お隣、いいかな」
「えっ、あっ、どうぞ…」
「ありがとう」
すごく綺麗な女の人…。
お母さんと同じくらいの年齢かな…。
入院服を着ている女性は、きっとこの病院に入院しているんだと。
その人は私の隣にストンと腰を落とした。
「…白栄(はくえい)高校の生徒さん?」
「あっ、そうです、」
「私の…知り合いも、そこの生徒なんだ」