俺の世界には、君さえいればいい。




もうすぐ、もうすぐ春休みがくる。

バレンタインもあげられなかった私に、すこし早いホワイトデーを貰ってしまったような気持ちだった。



「明日も、もう1日休みなさい。病院いってお薬だけでも貰ってこなくちゃ」


「…うん」



メールも電話もお互いできないけれど、それでも優しさは届けられたビニール袋がすべてだった。

ここに、私が大好きな櫻井くんのぜんぶがある。


すっごく過保護で、いつも心配してくれて、私なんかをお姫様みたいに扱ってくれちゃう人。


口にするものだけじゃなく、冷えピタや絆創膏、包帯や消毒液まで入ってる。

本当に…櫻井くんらしいお見舞いだった。



「季節の変わり目あるあるの風邪かなあ。それか、ストレスからきたパターンもあるね。
今日にも熱は下がっているから明日は問題ないと思うよ」


「はい、ありがとうございます」



次の日、私はおばあちゃんに連れられて病院へ。


やっぱり風邪だった。

それに今も私は元気なのに、一応お薬を貰っておけば再発したときに安心だろうとの考えで向かった次第。


小さな診療所でいいというのに、町一番の市立病院にまで連れてこられちゃった…。



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