俺の世界には、君さえいればいい。
逆に私を哀れんでくれてしまう声だって上がって、そんな私は複雑すぎる気持ちを押し込みつつも教室に向かった。
気にしない、気にしない。
そんなの最初から分かってたことだ。
「かなのちゃんっ!なんか色々ウワサ立ってるけど…気にしないでねっ」
「櫻井くんにはあたし達から言っておくから…!」
「きっとそっくりさんだったんだよねっ!」
いつも声なんかかけてこないクラスの女の子たちが、一斉に私の机を囲んだ。
一言一言がグサグサくる攻撃をぜんぶ食らっていると、「退いた退いたっ!!」と言って助けてくれたゆっこ。
「かなのに何か言いたいことあるならあたしに言いなっ!ぜんぶ聞いてあげるから!」
「優子に言っても意味ないもーん」
「そんなの分からないでしょー?櫻井くんと抱き合ってたのはあたしかもしれないよー?」
「ないないっ!だって優子って丹羽を狙ってるし!」
「あっ!ちょっと!!言うなって…!!」
そんな話題が出ると、珍しく顔を赤くさせる友達。
そう、ゆっこの好きな人の話は私もたまにというかしょっちゅう聞いていた。