俺の世界には、君さえいればいい。
「かなちゃん、」
「か、かずえくんっ、それは学校ではだ───ん…っ!」
思わず振り向いてしまった私に落ちてくる、甘くてとろけてしまいそうな唇。
けれど私も私でちょっとだけ進歩はしているから。
だんだんエスカレートしつつある動きをぐいっと無理やりにも止めて、「だめ!」と強気に言う。
そうすると諦めたように離してくれて、その代わり愛情いっぱいに見つめてくれる。
「…でもそれって俺からしたら逆効果なんですよ、」
「えっ、そ、そうなの…?」
「俺は…かなのさんのネクタイも緩めたいと思ってるんで、」
どうやら櫻井くんがネクタイを緩める理由というのは、私が想像していた以外にもたくさんあるらしいのだ。
今までとどこか違う目をした主計くんは私のネクタイへ視線を落とした。
「…わりと我慢してるんで、出来れば早めがいいなって…思ってます」
「そ、それって…、」
「…わかってるでしょ?」
「っ……、」
そして彼は、こんないじわるな顔もするようになりました。
最初は、夢で見た櫻井くん。
2回目は、初めてのキスのとき。
3回目に彼が緩めるときは───…どんな理由があるんだろう。
「あとこれ…スカートどういうことですか、」
「あっ、えっと、さいきん暑くなってきたからゆっことお揃いにしてね…!」
「膝上10センチ……いや、12はあるな」