俺の世界には、君さえいればいい。




「───…よかった、」


「えっ、あっ、…はい…」


「あっ、いや、…じゃ、じゃあ」


「…お、お大事に…」



くすぐったい。

それからの帰り道は、俺はいつもの無心とは違う無表情さで帰宅した。



「あぁぁぁああああぁぁあ!!!!」



───と、それとこれとは別に。

俺は家に帰って早々、頭を抱える。



「…最悪だ、間違えた……、ぜったい順序まちがえた……!!!」


「お兄ちゃんうるさいっ!」


「…あ、ごめん。いやごめんじゃない、俺はなんてことしてんだよ馬鹿…」


「えええお兄ちゃん頭バカになったの…!?」



小学5年生の妹は最近になってまた口が達者になってきた。

これ以上リビングで騒いでいると竹刀で叩かれそうだ。



「ちょっと壁が壊れちゃうってば…!」


「……あぁ、ごめん、」



俺は壁に打ち付けていた頭を離して、すぐに自分の部屋へ向かう。

そして再び頭を抱える。



「…泣かせた……、それが一番だけど一番じゃない、」



誰にも言えない。

こんなの父さんにも言えない、言えるわけがない…。



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