俺の世界には、君さえいればいい。
「だからただの友達っていうのは…やっぱり嫌だ」
婚約者でいたい。
婚約の上に成り立つ、友達がいい。
たとえ周りからどう思われようと俺は絶対にやめる気なんかない。
むしろ俺はもっと由比さんに近づきたいし、出来ることならハチャメチャに可愛がりたいくらいに。
「……」
そう、俺は可愛がりたいのだ。
顔周りで切り揃えられた黒い髪とか、小さな鼻とか、こぼれ落ちるんじゃないかってくらい柔そうな白い頬とか、猫目の瞳とか。
「ぴゃっ」って、聞いたことない声を出して反応してくれるところとか。
もっと近くで見たいし、もっと知りたいし、誰も知らない由比さんの顔を俺だけが見つけたい。
「……変態だ…、やばい、俺は変態だ」
順序、まずは順序が大切なんだ。
優先順位というものがあるだろう。
文化祭、冬休み、クリスマスにお正月…。
もっとこれからたくさん色んなことがあって、その全部を由比さんと過ごせるのだとしたら。
「………最高すぎだろ、」
ただ、まずは俺を好きになってもらわないと。
それと親が決めたから従ってるんじゃないってことを知ってもらわなければ。
これは俺が選んだんだ───って。