俺の世界には、君さえいればいい。




私の腰に巻いてくれたとき、まるで正面から抱きしめられてるみたいで。

私だって何が起きてるの…?と理解するに大変だった。


それに巻いてくれること自体が結構すごいと思う…。



「…それ…ずっと着てていいんで」


「え…?」


「…俺のカーディガン」



逆に着てください───なんて、都合のいい解釈を頭の中でしてしまった。

そんなことを言われてしまうと今日にも見た夢を思い出してしまう。


なにしてた…?

ベッドに押し倒されて覆い被さられて、そうそう、ネクタイを緩めてたの。


それで私のネクタイにも同じように手をかけてた櫻井くん。



「っ…、げ、月曜日には洗って返すね…!!それじゃあ失礼しますっ」


「あっ、由比さん走らないでください…!見えるんで…!!」


「櫻井くん過保護すぎるよ……っ!」


「……過保護…とは、ちょっと違うだろ」



ひゃ~~~~!!!

走る度に腰に巻かれた櫻井くんの香りが鼻に届いてくる。


ホットプレート、ホットプレート…!

ごみ捨てをしてホットプレート持ってくるだけなのに、こんなにドキドキすることってある……?



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