俺の世界には、君さえいればいい。
「あれ?かなの、カーディガンなんて巻いてたっけ?」
「あっ、寒くなったから…!」
「……はっはーん、やっぱりあたしの読みはアタリね。───ムッツリプリンスに改名かな」
ニヤニヤ笑ったかと思えば、こそっと誰にも聞こえないようにゆっこは伝えてくる。
「へ、変なこと言わないで…!」
「あたしは事実を言っただけだもーん。というより誰を想像したのー?
あたし誰のことかなんて言ってないけどー?」
「っ……、もうゆっこ!!」
こうやってからかってくるんだから。
私の反応が面白い面白いって、入学して話すようになった当初から言われていたっけ…。
それよりムッツリプリンスって…。
むっつり……ムッツリ…。
そんなんじゃ……ない、とは言い切れないかもしれない。
「かなのちゃんそっち順調ー?もし手が空いてたらこっち手伝ってもらってもいーい?」
「あっ、うん…!」
でも、なんだか1日1日がキラキラしてる。
今まで地味に目立たず生きてきた私は、同じような毎日をただ繰り返すだけだったのに…。