俺の世界には、君さえいればいい。
「じゃあ言わせてもらいますけど!?そもそもあんたがハッキリ全校生徒に“由比
かなのは俺のこんやく───」
「あーーーっ!!もう…っ!ゆっこ…!!」
それは言っちゃだめ…っ!
どさくさに紛れたとしてもだめ…!
こんなことやってるから周りの生徒たちは足を止めちゃってるし、また噂が立っちゃうし…。
そうなると被害を受けるのは私だけじゃないの、きっと。
「ひどいよゆっこ…!櫻井くんも…っ、喧嘩はやめて……っ、みんなで仲良くしようよ…っ」
「ゆ、由比さん、泣かないでください、あぁもう何やってんだ俺…、」
「あーあ、泣かせちゃったぁ。よしよし、おいでかなの」
おろおろと戸惑う櫻井くんにドヤ顔を振りまいたゆっこは、私を抱き寄せた。
ぽんぽんと頭を優しく叩いてくれる。
「ごめんねぇかなの、ムッツリプリンスが思った以上にヘタレだったからさぁ」
「櫻井くんはヘタレじゃないよ…!仲良くしてね…っ」
「うんうん、でも優しいのはあんたにだけってことが今ので分かったんじゃない?」
「───…え、」