俺の世界には、君さえいればいい。




「…ううん、緊張…しちゃってて、」


「本当ですか…?」


「うん、」



消えろ、なんて。
そんな危ない言葉は使っちゃだめ。

そしてその刃がいつか私の大切な人たちに向かってしまうのは、絶対にだめ。



「…クレープ、食べに行ってもいいですか、」


「クレー…プ…?」


「はい、俺ちょうどいま休憩なんで」



この体勢と色んなことに、ほわわわっと意識が朦朧としちゃってた…。

ぱちんっと戻ってくると、私は客寄せとして教室を出ていたことを思い出す。


……戻らなくちゃ。

今頃ゆっこは探してるかもしれない。



「…だけど、もう少し」


「ひゃ…っ、」


「……あの、それは駄目です、」



だめって、耳元でわざわざ話す櫻井くんも櫻井くんだ。

そんなの私のセリフなのに…。


だめなのは私も同じ。

もう心臓がどうにかなってる。



「っ…、こ、これ被って櫻井くん…!」


「えっ、ちょ、……。」



だめ…、こんなに近くで見つめ合うなんて無理すぎる…っ。

サッと、スクリームのお面を取り付けた。



「そのあとは…櫻井くんのクラスのお化け屋敷にも行きたいな…」


「駄目です」


「えっ、どうして…?」



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