俺の世界には、君さえいればいい。
そのお面って、ちゃんと中から見えてるの…?
外側からは良く分からないから、思わず探るように見つめてみた。
「っ…!」
すると、甘く見つめてくれる瞳が暗闇の中にあって。
バチッと重なってしまった。
「…由比さんがお客さんとして来たら…俺は全力で驚かさなきゃいけないから。
それで怪我とかしたらどうするんですか」
「さ、さすがにそれはないよ…」
「それに、驚かす他のお化けを俺は蹴散らしてしまうかもなんで」
「……」
どういうことなの。
櫻井くんって、なんかこういうところがある。
本当なのか冗談なのか分からないのに、無表情だから本当なの…?なんて思っちゃう。
でもそれはぜんぶ共通したものからきていて。
そう───…過保護だ。
「過保護すぎるよ…櫻井くん、」
「…だからこれは実は過保護じゃないんですよ」
「ううん、すっごく過保護。私はもう高校生だよ…?」
今だって見方を変えれば抱っこみたいになってる。
そうやって櫻井くんが過保護だから、感覚が変わってきちゃうの。
同い歳なのに……。
「…す、…大切な子を…守りたいだけです、俺は」
それからどうやって櫻井くんの膝から降りたんだっけ、とか。
“す”って最初言いかけてたのは気のせいなのかな…とか。
そんなことを考えたのは教室に戻ってから。