俺の世界には、君さえいればいい。
「お!櫻井じゃん!!」
「かずえ!ふはっ!お前ほんとにお化けやってんの!」
「さ、櫻井くんっ、はい!これメニューね…!」
スクリーム姿で1年B組に現れた櫻井くんにびっくりしているクラスメイト。
「かーーなーーのーー!?あんた看板持ってどこまで行ってんのよ…!!あたしめちゃくちゃ探したんだけど!?」
かなりの時間をサボってしまってゆっこにキレられて、雑用をこなした私。
そんな私をずっと見ていた櫻井くん。
ごみ捨てをする子を見ながらクレープを食べるのなら、窓から見えるグラウンドを見たほうがいいんじゃ…なんて申し訳なくなって。
───カシャッ。
「……えっ、」
ポーカーフェイスで構えられたスマートフォンのレンズは私を捉えていた。
ナチュラルに、それはもう自然に、だから周りのクラスメイトもほとんどが気づいていなくて。
───ピロンっ。
そして私に初めて彼からメールが届いた。
“今度は由比さんと一緒に撮りたいです”と、メッセージ付きで添付されていた1枚。
『……これは…ゴミの分別をしてるのかしら…?頑張ってたのねぇかなの。
でもお母さん、ちょっとイメージしてた写真と違ったんだけど…』
「ふふっ、あのね、これ…ある人が撮ってくれたの」
『───…よく撮れてるじゃない。うん、かなのの良さが全面的に出てるわ』
それを見つけてくれた人は、私のちょっと過保護な婚約者です。