ノート
背が高いし、淡い色の髪が、遠くからでも目につく。
教室で会ったときに、きれいな色だなと純粋に話しかけたら何かと会うようになった。
「今日は雨かなー」
「いーや、晴れてる」
「これから降るかな」
わざとらしく窓を見られたので、面倒で、あぁそうかもなと返した。
少し前なっちゃんは俺が嫌いなんだろうなと思っていたことを思い出す。しばらく話すうちに、彼が気をつかったように笑うことが増えたから。
よくそんな風に、気をつかう笑い方をされたあと知り合いが去っていくという場面を俺はなんども知っているし、それににていた。それはよく『あなたとは合わない』
の合図だった。
まあ今、なんだかんだで変わらず話してくれるし、わざわざ確かめなくてもいいけれど。けれど。わからない。
俺とは合わない、のに、見捨てないヤツなんて初めて見たから、なっちゃんが何を考えているのか、さっぱりで、混乱する。
いつからか、なっちゃんが俺のそばで気を遣うように笑うのは、俺のせいでは、ないのだろうか。
真実を知り何かを壊すのが怖くて、俺はなっちゃんとは、妙な距離感で関わっていた。
俺がこんなことに気を遣うなんて理由はひとつだった。
だがそれで引かれても困る。
と。
ぴろろん、と呼び出しの音がした。
「あ、やべ、音を切ってない」
おもむろにポケットから出した小さな四角い育成ゲーム、のボタンを押す。