ノート

丸くて可愛い生き物がおかえりなさい、と迎えてくれたが、無慈悲なくらい真顔で設定画面を開いてサウンドを遮断。

 親のアレルギーの関係でペットをかえなかった俺は、昔からこの手の電子ペットに弱い。
「すきだね、そいつ」

すきというワードに、思わず反応しかけた。が、冷静に頷く。
「エサ代もかからないし、アレルギーにもなんないしな」
ふふっ、となっちゃんが笑ったのを見て胸が苦しくなる。

「なんか面白かったか?」
「いやいや、かわいいとこあるよね」

「……」

むすっとして唇を尖らせると、どうかした?
と聞かれた。なっちゃんには言われたくない。

「えっくん、どうかしたの」
あー、もう。疑問そうにこっちを見てくるんじゃねぇ。

「お前のせいだからな」
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