ノート

なんて言うから俺は、何を言おうか迷った。

恋人?
なんだそれ、なに勝手に恋人にしてるんだよ。
ツッコミどころが多すぎてあいた口が塞がらない。

「仮にそうだとしても、俺は一人で散歩したいですね」

大声でわざとらしくしゃべる人間は、性別問わず得意になれない。
デリカシーのないことを大きくしゃべって喜ぶガキ、みたいなイメージがあるのだろう。

まだ辺りは暗くて、それなりに、気温は涼しかった。
「クスッ、きみって結構、線が細いね」

「あーあ背中に靴のあとがのこっちまうな」

わざとらしく、彼の突撃を批難すると、少しこたえたのか、唇をぐっと結んだ。

「俺なら、君を幸せにできる、するよ。
こんなにも好きなんだよと伝えたい相手ははじめてだ」
 俺はこんなにも気味が悪いと思ったのは、初めてだ……
好きなんだよって、大体何様なんだ。
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