ノート

「気付くだけ、それを苦にいじめるやつよりは成長してる」
「ところで、なんでこんな話になったんだ。 もしかして、河辺がらみかな」
急に真面目な顔をして綺羅が言う。
その通りだった。

「確かに、クラスでの印象はよくないよ。
乱暴だし、奇声をあげるし、ちょっとよくわからない俺様感を出してくるから」

「まあ、他人の痛みには、鈍い感じがするな」

俺は濁しながら言う。
綺羅の近く、すぐ斜め後ろの席に座って鞄をドサッと投げるように置いた。

「寄り添ってあげられる人がいたらいいけど、精神が未熟な相手に構えるほど、成熟したクラスメイトはそう居らんわよね」

「ですよね」

 思いきった俺は、

俺が唯一心の拠り所だった場所に彼が居ついたこと、俺様感を出してそこから動こうとしないことを話した。

「もしかして、最近それで元気なかった?」

と、彼女は言う。気付いてたのか。
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