10year
―――――――コンコン
「はい?」
この声。確かに片瀬先生の声だ。
「健治?入るぞー。今日は差入れ付だぞー」
さ、差入れって?にっこりと笑った日向先生の顔を見ると、どうやらその差入れとは私らしいけど。
「なんだ、稔かよ」
「なんだとは心外だなー、健治くん。折角、闘病生活にも励みになりそうな差入れを連れてきたのになー」
「連れてきた?持ってきたんじゃなくてか?」
「はははは・・・・。おい、入れ」
2人の会話に入り込めなくて、廊下で立ち尽くしていたのが分かったのだろうか。
「失礼します・・・・」
病室に一歩踏み込んで、すぐにベッドの主が目に入った。
そこには、私の知る頃よりも幾らか老け込んだ愛しの人が、ベットのリクライニングを起き上がらせた状態で横になっていた。
「えーっと、失礼だけど、どなた?」
ベットの主である片瀬先生は、少しだけ眉間に皺を寄せて、私にそう言った。
あれから10年経つのだから、私のことに気付かないのも仕方ないと言えば仕方ないか。
10年前はスッピンだった私も、今はちゃんとお化粧して、それなりに女性らしく化けているんだもの。
「――――――健治、お前なぁ・・・」
「椎野です―――――」
緊張して居る時って、ちゃんと言葉を発せているか自分では分からないんだよね。
私、ちゃんと自分の名前を言えてるんだろうか?
「えっ??し、椎野?椎野って・・・まさか」
「会いたがっていた椎野麻衣」
目を見開いて驚きを隠せずに居る片瀬先生に、言葉静かに日向先生が言った。
「はい?」
この声。確かに片瀬先生の声だ。
「健治?入るぞー。今日は差入れ付だぞー」
さ、差入れって?にっこりと笑った日向先生の顔を見ると、どうやらその差入れとは私らしいけど。
「なんだ、稔かよ」
「なんだとは心外だなー、健治くん。折角、闘病生活にも励みになりそうな差入れを連れてきたのになー」
「連れてきた?持ってきたんじゃなくてか?」
「はははは・・・・。おい、入れ」
2人の会話に入り込めなくて、廊下で立ち尽くしていたのが分かったのだろうか。
「失礼します・・・・」
病室に一歩踏み込んで、すぐにベッドの主が目に入った。
そこには、私の知る頃よりも幾らか老け込んだ愛しの人が、ベットのリクライニングを起き上がらせた状態で横になっていた。
「えーっと、失礼だけど、どなた?」
ベットの主である片瀬先生は、少しだけ眉間に皺を寄せて、私にそう言った。
あれから10年経つのだから、私のことに気付かないのも仕方ないと言えば仕方ないか。
10年前はスッピンだった私も、今はちゃんとお化粧して、それなりに女性らしく化けているんだもの。
「――――――健治、お前なぁ・・・」
「椎野です―――――」
緊張して居る時って、ちゃんと言葉を発せているか自分では分からないんだよね。
私、ちゃんと自分の名前を言えてるんだろうか?
「えっ??し、椎野?椎野って・・・まさか」
「会いたがっていた椎野麻衣」
目を見開いて驚きを隠せずに居る片瀬先生に、言葉静かに日向先生が言った。