跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
自信が持てません、、
私生活の不安はともかく、仕事が充実していると時間の経過が早く感じる。梅雨明けすぐに千秋さんと岐阜へ行ったのが、もうずいぶんと前のことのようだ。
ギャラリーの外を行き交う人の服装は、すっかり秋の装いに変わっている。

季節がひとつ過ぎる間にタイルの製造の準備は急ピッチで進められ、窯元の体制はすぐさま整えられた。同時にタイルの細かなデザインも決定し、数日後には製造を開始できるまでに漕ぎつけている。

これほどスムーズに進められているのは、ひとえに千秋さんが早い段階で様々な手はずを整えたからだ。そしてそんな千秋さんの姿勢に、加藤の従業員もついていきたいと奮起した結果でもある。

岐阜を訪問したときに、一緒にお酒を飲んで打ち解け合えたのも大きかっただろう。叔父を筆頭に、千秋さんに惚れ込んだ面々が彼の意を汲んで先回りする勢いで動き出している。

『愛佳ちゃんの旦那さんは、本当にすごい人やねぇ』と、電話をした際に叔母が心の底から感心するように話してくれたときは、嬉しいような誇らしいような気持になった。

千秋さんの当初の目論見通り、他企業とのコラボなどいくつかの企画も水面下で動きはじめたため、必然的に忙しさが増して残業が増えている。
同時に、千秋さんの方も帰りが遅くなるようになった。これまでは新婚だからと、志藤さんが気を回してスケジュールの調整をしてくれていたらしいが、さすがにいつまでもそのままではいられない。

不意打ちの見合いを持ち掛けたという、私に対して負い目のある父によって、休日は千秋さんと合うよう配慮されている。おかげで一緒に住んでいながら顔すら合わさないという事態は回避できているが、千秋さんは休日出勤もするため、ふたりでゆっくり過ごせる時間は少なくなっている。

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