跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「ばあさんにも、今は邪魔するなと言っておくか」
「菊乃さんにまで、そんな……」
急に協力的な発言をし出した千秋さんに、戸惑いを隠しきれない。身勝手だが、彼に突き放されたようで心細くなる。
対する彼の方は、まったく平気そうだ。それが余計に私を苦しめる。
「なんなら、しばらく実家に帰ってもいいが」
「それは、さすがに……やめておきます」
もしかして私がいない間に、この部屋に岸本さんを招き入れるかもしれない。どこか違う場所で会う可能性もあるが、私がこのマンションで暮らしていれば、多少の抑止力になるはず。
矛盾しているが、籍を入れている間だけは彼に裏切って欲しくない。
近いうちに離婚を切り出そうと覚悟をきめたはずなのに、足元がぐらぐらと揺らいでしまう。
もし私の視界に入るところで彼と岸本さんとの間になにかあれば、耐えられそうにない。千秋さんはそんな無責任な行動をしないと信じたいが、このまま夫婦生活を拒否し続けて溝が広がれば、どうなってしまうかわからない。
「そうか。じゃあ、明日から夕飯は各自で。寝室も別で」
自分から言い出したのだから、拒否はできない。いつもと変わらぬ表情の千秋さんを見つめながら、渋々小さくうなずいた。
「愛佳、無理だけはするなよ」
ここまでなんでもないように話していた千秋さんだったが、そのひと言だけは優しくて、私の涙を誘う。それがあふれてしまわないよう、必死で堪えた。
「うん」
大丈夫。千秋さんはまだ、私を気遣ってくれている。
彼を試しているようで後ろめたいが、そんなささいなことに安堵した。
去り際に軽く頭をなでてきた大きな手に複雑な感情を抱きながら、なにも言えないまま彼を見送った。
「菊乃さんにまで、そんな……」
急に協力的な発言をし出した千秋さんに、戸惑いを隠しきれない。身勝手だが、彼に突き放されたようで心細くなる。
対する彼の方は、まったく平気そうだ。それが余計に私を苦しめる。
「なんなら、しばらく実家に帰ってもいいが」
「それは、さすがに……やめておきます」
もしかして私がいない間に、この部屋に岸本さんを招き入れるかもしれない。どこか違う場所で会う可能性もあるが、私がこのマンションで暮らしていれば、多少の抑止力になるはず。
矛盾しているが、籍を入れている間だけは彼に裏切って欲しくない。
近いうちに離婚を切り出そうと覚悟をきめたはずなのに、足元がぐらぐらと揺らいでしまう。
もし私の視界に入るところで彼と岸本さんとの間になにかあれば、耐えられそうにない。千秋さんはそんな無責任な行動をしないと信じたいが、このまま夫婦生活を拒否し続けて溝が広がれば、どうなってしまうかわからない。
「そうか。じゃあ、明日から夕飯は各自で。寝室も別で」
自分から言い出したのだから、拒否はできない。いつもと変わらぬ表情の千秋さんを見つめながら、渋々小さくうなずいた。
「愛佳、無理だけはするなよ」
ここまでなんでもないように話していた千秋さんだったが、そのひと言だけは優しくて、私の涙を誘う。それがあふれてしまわないよう、必死で堪えた。
「うん」
大丈夫。千秋さんはまだ、私を気遣ってくれている。
彼を試しているようで後ろめたいが、そんなささいなことに安堵した。
去り際に軽く頭をなでてきた大きな手に複雑な感情を抱きながら、なにも言えないまま彼を見送った。