跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
しばらくしてベッドに入ったが、ひとりで気楽なはずなのに妙に心細い。仕事で疲れているのに眠気は一向に訪れなくて、ずいぶん遅くまで起きていた。

翌日から、夕飯の用意をやめた。帰宅した音が聞こえてせめてもと顔を出せば、『ああ、いいって愛佳。仕事があるだろ? 俺にかまう必要はない』と軽く拒まれて落ち込む。

とくに冷たく突き放されたわけじゃないが、そのダメージは大きい。こうなるように望んだのは自分のはずなのに、いちいち落ち込んでしまうのが嫌になる。
その後、『あまり根詰めすぎるなよ』と労わってくれた言葉を支えに、そそくさと部屋に戻るしかなかった。

おかしなもので、距離を取り出した途端にますます千秋さんの存在が頭を離れなくなってしまった。自分はどれほど彼が好きなのかと、突きつけられたようだ。
きっと千秋さんの方は余裕綽々で、いつものようにバリバリ働いているだろうに。

夕飯は、結婚前のように外で済ませて帰宅しているようだ。
もしかしたら、岸本さんと一緒に食べに行く機会もあるかもしれない。妻の実家の再建を任せている相手なのだから、話を聞くきっかけに外に出るのは不自然ではないだろう。仕事ならば、浮気にはならないのだから。

どこでなにを食べてきたのかと話題にして、万が一彼女の名前を聞かされたらたまらないと、やたら予防線を張ってしまうせいで千秋さんとの会話もうんと減った。

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