跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「美味しい」

猫舌の私でも飲めるぐらいの温度で用意されているのが、なんとも憎らしい。いつもは俺様なくせに。こういうさりげない思いやりに、気持ちが隠しきれなくなりそうだ。

「はあ……」

テーブルに突っ伏して、再びため息を吐く。
こんなところで腐っている場合じゃないとわかっているが、優しいぬくもりに胸がいっぱいになり、そっと目を閉じた。

本当に寝てしまいそうなのになかなか体を起こせない。それどころか、頭がふわふわとしてくる。

「こんなところで寝るな」

「ん……」

千秋さんの声が聞こえた気がして、重たい瞼を開ける。どうやらブランケットを手にしているようだけど、私のために持ってきてくれたのだろうか。

「愛佳、今晩はもう寝ろ」

「ん」

なんとか返事はしたが、再び瞼が下がってきてしまう。意地になって、根詰めすぎてしまったかもしれない。思っていた以上に疲れがたまっていたようだ。

「こら、愛佳」

軽く肩を揺すられるが、目を開けるのがどうにも辛くて抵抗した。

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