跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
事務所に入ると、バクバクと鳴る心臓を押さえながら椅子に座り込んだ。ほっとした途端に、全身の力が抜けてしまう。
岸本さんから見れば、加藤製陶はたくさんある仕事相手のひとつにすぎないだろう。これまで様々な経験を積んできた彼女のことだ。こういう策をとれば業績が上向きになると、実績に裏打ちされた考えを持っているはず。そこは私も認めるし、勝てないとわかっている。
だけど、加藤製陶にかける思いだけは彼女に負けていない。
情熱だけでうまくいくわけでもないが、私のこの姿勢は千秋さんだって認めてくれたものだ。それが私にとって心の支えになっているのだと、ああして岸本さんと対峙してよくわかった。
岐阜の窯元で、夏の暑い日も冬の寒い日も窯に向かい、粉塵の舞う中で作業している従業員の姿を実際に目にしてきた。自身も何度か体験もさせてもらっており、その大変さはわかっているつもりだ。
だからこそ、現地の仕事をまったく知らない岸本さんに口出しされるのは我慢ならない。
お世話になっている彼女にずいぶんと失礼な態度をとったかもしれないが、後悔はしていない。
これは、決して逃げたわけじゃない。戦略的撤退だと、どこかで聞いた言葉を思い出してふっと笑った。
大丈夫。私にはこうして笑う余裕があるし、無謀だった以前とは違って加藤製陶の将来について多角的に考えられている。
千秋さんに少しは成長した姿を見せられそうだと、徐々に冷静さを取り戻していった。
岸本さんから見れば、加藤製陶はたくさんある仕事相手のひとつにすぎないだろう。これまで様々な経験を積んできた彼女のことだ。こういう策をとれば業績が上向きになると、実績に裏打ちされた考えを持っているはず。そこは私も認めるし、勝てないとわかっている。
だけど、加藤製陶にかける思いだけは彼女に負けていない。
情熱だけでうまくいくわけでもないが、私のこの姿勢は千秋さんだって認めてくれたものだ。それが私にとって心の支えになっているのだと、ああして岸本さんと対峙してよくわかった。
岐阜の窯元で、夏の暑い日も冬の寒い日も窯に向かい、粉塵の舞う中で作業している従業員の姿を実際に目にしてきた。自身も何度か体験もさせてもらっており、その大変さはわかっているつもりだ。
だからこそ、現地の仕事をまったく知らない岸本さんに口出しされるのは我慢ならない。
お世話になっている彼女にずいぶんと失礼な態度をとったかもしれないが、後悔はしていない。
これは、決して逃げたわけじゃない。戦略的撤退だと、どこかで聞いた言葉を思い出してふっと笑った。
大丈夫。私にはこうして笑う余裕があるし、無謀だった以前とは違って加藤製陶の将来について多角的に考えられている。
千秋さんに少しは成長した姿を見せられそうだと、徐々に冷静さを取り戻していった。