跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「強がるのもいいけど、自分の実力すら把握できていないのなら、裏でおとなしくしているのがいいじゃないかしら」
私を小ばかにした口調だが、彼女はにこやかな表情を保ったままだ。まさかこれほど辛らつな発言をしているとは、誰も思わないだろう。
たしかに岸本さんは有能な人で、彼女の協力があったからこそ再建計画を着実に進められている。
だからといって、彼女に全権があるという意味ではない。
千秋さんが彼女に任せたのは、加藤と及川の連絡役を担って及川の示した再建案に則って進めていくことで、それ以上踏み込んだ権限はないはずだ。
決定権は社長である父と、及川の最高責任者の千秋さんにあり、まして加藤の社員である私を追いやる権利なんて岸本さんにはない。さっきの発言は、明らかに逸脱している。
仕事に感情を挟むなんて、岸本さんらしくない。
いろいろと言われたのは悔しくもあるが、それをぐっと飲みこんで毅然とした態度を貫く。
「ここはお客様のいらっしゃるギャラリーです。この場でそんな話はするべきではありません」
幸いにも、近くに誰も来なかった。ただ、社員同士がこの場で長々と話し込むのは、遠目にもあまりよい印象を与えない。
それだけ伝えて一礼すると、表情を歪めた岸本さんの横をすり抜けた。
そのまま一直線に事務所に向かう。決して逃げたつもりはないが、気持ちが高ぶった状態での接客は無理そうだったし、今は岸本さんを視界に入れたくなかった。
私を小ばかにした口調だが、彼女はにこやかな表情を保ったままだ。まさかこれほど辛らつな発言をしているとは、誰も思わないだろう。
たしかに岸本さんは有能な人で、彼女の協力があったからこそ再建計画を着実に進められている。
だからといって、彼女に全権があるという意味ではない。
千秋さんが彼女に任せたのは、加藤と及川の連絡役を担って及川の示した再建案に則って進めていくことで、それ以上踏み込んだ権限はないはずだ。
決定権は社長である父と、及川の最高責任者の千秋さんにあり、まして加藤の社員である私を追いやる権利なんて岸本さんにはない。さっきの発言は、明らかに逸脱している。
仕事に感情を挟むなんて、岸本さんらしくない。
いろいろと言われたのは悔しくもあるが、それをぐっと飲みこんで毅然とした態度を貫く。
「ここはお客様のいらっしゃるギャラリーです。この場でそんな話はするべきではありません」
幸いにも、近くに誰も来なかった。ただ、社員同士がこの場で長々と話し込むのは、遠目にもあまりよい印象を与えない。
それだけ伝えて一礼すると、表情を歪めた岸本さんの横をすり抜けた。
そのまま一直線に事務所に向かう。決して逃げたつもりはないが、気持ちが高ぶった状態での接客は無理そうだったし、今は岸本さんを視界に入れたくなかった。