跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
翌朝、実家にいたときより早い時間に起きて簡単な朝食を用意していると、千秋さんが部屋から出てきた。まだ着替えていないラフな格好に、ドキリと胸が高鳴る。スーツをかっちりと着たときの威圧感はまったくなく、そのギャップに視線が釘付けになってしまう。

一緒に暮らしていれば、外では見せない気を抜いた姿も互いに曝け出していくのだろう。

つまりそれは、私の雑な部分も露呈してしまうわけで……。

そういえばさっき脱いだパジャマは、たたみもしないでベッドに投げ出したままだ。自分の部屋の中だとはいえ、今後は改めるべきだろう。

たとえ夫婦でも、もともとは赤の他人だ。互いに不快感を抱かせないためにも、もう少し気を遣うべきかと身を引きしめた。
 
「早速用意してくれてるのか」

「はい。食べる時間はありますか?」

「ああ」

どうやら私の気配に気づいて顔を覗かせただけのようで、千秋さんは「準備してくる」とキッチンを後にした。

作った料理をテーブルに並べ終えたタイミングで、身支度を終えた千秋さんが再び戻ってきた。
向かい合わせに座って食べながら、気になってチラチラと千秋さんを見る。俺様な態度とは裏腹に丁寧な箸遣いをしているのは、及川の跡取りとして躾や教育を受けてきたからなのだろう。

朝はほぼ食べないと聞いていたが、次々と口へ運ぶ様子から迷惑にはなっていなさそうだとほっとする。

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