跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました～年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛～

ここへ来るまで、あと何日だと日数を数えながらあれほど緊張していたというのに、いざ引っ越してみればこんな砕けたやりとりしている。彼の意地悪のおかげというのは癪だが、同居二日目にして早くも素の自分を見せている。

時折夜の生活を仄めかされるのは恥ずかしいが、彼とのやりとりを素直に楽しいと感じている自分に自身で驚いた。

「そうだ、愛佳。今日の昼過ぎに、加藤のギャラリーの方で今後の方針の打ち合わせをする予定になっているから」

「ああ、父に聞いてます。こんなに早くに動き出してくれて、ありがとうございます」

早いに越したことはないとはいえ、想像以上のスピード感に驚いた。初対面のときに思った通り、とにかく仕事はできる人なのだろう。

おそらく今日は、加藤のために優秀なコンサルでも紹介しつつ今後の提案をされるだろうと予想している。

支度を終えると、私たちは別々にマンションを出てそれぞれの職場へと向かった。