跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
成果を出せたどころか、加藤製陶はやっとスタートラインに立てばかりだとわかっている。それでもここまで精力的に動いてくれた千秋さんに、少しでも感謝の気持ちを返していきたくて、できることはないかと思案した。

その週末、少しでも疲れを癒してもらえるようにと張り切って夕飯を用意した。

「なんだ。今日はいつもより豪華だな」

「千秋さんにはお世話になりっぱなしでしょ? だからせめてこういうところで恩返しをしようと思って」

料理上手な母に仕込まれてきたから、腕にはそこそこ自信がある。普段は仕事をしているため簡単なものが多かったが、時間のある今日はローストビーフをメインに数種類の豪勢な料理を用意した。テーブルの上は、まるでなにかの記念日かのような様相になっている。

なんだか待ちきれなくて、急かすように千秋さんの手を引きながら着席してもらう。

彼はどんな反応を示すだろうか? はやる気持ちを堪えきれずにじっと見つめる。

「熱烈な視線だな」

そんなふうにからかわれても、いつものような恥じらいもいら立ちもない。それよりも感想を聞きたいと、緊張して待ち続ける。

「美味いなあ。今日の料理はとくに絶品だ」

意地悪な彼にしては珍しく手放しで褒めてくるから、嬉しさで舞い上がりそうになる。頑張って作ってよかったと、ほっと胸をなでおろした。

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