跡継ぎを宿すため、俺様御曹司と政略夫婦になりました~年上旦那様のとろけるほど甘い溺愛~
「いつまで待たせる気だ」

決して威圧するような口調ではないが、すっかり考え込んでいたところに突然声をかけられて、ビクリと肩が揺れた。千秋さんがそれを不審そうに見てくる。

「なにか、思いついたようだな」

「いや、えっと……」
 
「俺は気の長い方じゃない。愛佳の答えを採点してやるから、言ってみろ」

別の案をと考えても、すぐにはなにも出てこない。
見せつけるかのように、人差し指でテーブルをトントンと叩いてくる様が、私の焦りを煽る。加えて、視線でも挑発してくる。

千秋さんは、この空気を意図的に演出しているに違いない。彼の思惑通り、急がなくてはと冷静さを欠く。

「……こ、子ども」

「……」

大胆な発言をした自覚はある。恥ずかしすぎて、彼の方を見られそうにない。
お願いだから、いつものようにからかって欲しい。今ならそれを手放しで歓迎する。

「ふうん。子どもねぇ」

私を試すような口調に、ゾクッとして背中が震える。「冗談だ」なんて、茶化してごまかせるような空気ではなくなってしまった。

「ばあさんにでも言われたな」

菊乃さんは、千秋さんにも同じ話をしているのだろう。もしかすると血のつながった関係なのだから、私以上に言われている可能性もある。

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