桜が咲く頃に、私は
「そっか。短いね。でも、なんでそんなに短くなったわけ? 幸せなことがあったら減るって聞いたけど……そんなに幸せなことがあったってこと?」


「それは……広瀬が幸せをくれたから」


「あぁ……なんかごめん」


結局、私の幸せは広瀬といる時に感じていたんだということを思い知らされる。


「早春が109日だったら、天川は130日くらいは残ってる感じ? あいつ死ぬ準備してんでしょ? 幸薄そうだもんね」


「……95になってた」


小さくそう呟くと、翠は驚いたように顔をしかめた。


「え、嘘でしょ? あいつどれだけこの生活に幸せ感じてんだよ。死ぬのが幸せとかドMの極地か」


「そうじゃなくて。なんかさ、おかしいんだよね。私と空は、毎日キスしないと生きられないわけでしょ? それなのにさ、私とキスすると余命が減るんだよ。だから私よりも減りが早くなってるんだ」


これをなんとか解消しないと、下手すれば空は年内に死んでしまう。


夢ちゃんの為に、出来る限り長く生きてほしいのに。


「おかしい……のかねぇ? マジか早春。今、私にはとんでもなくデカい青春が見えるわ。いや、マジデカい。私の相手もしてくれよ青春」
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