桜が咲く頃に、私は
でも、葛西はそんな空にニヤリと笑って見せて。


「なんだよ、覚えてないのかよ。泊めてくれって言ったら空に断られただろ? その後こいつ、『高校生になって、可愛くなってたら彼女にしてやるから、その時は泊めてやるよ』って指切りまでして言ってたんだけどさ。いやあ、調子に乗ってたよな。あの時こいつ結構モテてたからさ」


葛西の言葉に空は、顔をしかめて大きなため息をついた。


確かにそんな勘違いした上から目線のセリフ、そりゃあ恥ずかしくて言えないよね。


「ふーん。あ、そう。そんなこと言ってたんだ?」


あの時、そのセリフを覚えていなかった理由は今ならわかる。


高校生になったら……なんて先の話はどうでも良くて、今日泊めてくれる人が必要だったから。


「い、いや……その……か、葛西! お前!」


「なんだよ、望み通りになって良かったじゃねぇか。お前、ずっと気にしてたんだからよ」


「うるさい! もう帰る! 行くぞ早春!」


もっと聞きたいこともあるのに、空に手を引かれて私は歩き出した。


そんな私達の背後から、声が掛けられた。


「天川! またいつかやろうぜ!」


その言葉に、空は振り返りもせずに手を挙げて応えた。
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