桜が咲く頃に、私は
家に帰る前、私達は広瀬に事の顛末を伝えようと病院に向かった。


とっくに面会時間は過ぎてるし、明日にすべきなんだろうけど……どうしても先延ばしにはしたくなくて。


夜勤の看護師に見付からないように、こっそりと忍び込んだ病室。


広瀬は退屈そうにスマホを見ていたけど、私が現れたことに驚いた様子だった。


「さ、桜井さん……も、もう面会時間は終わってるけど……どうしたの?」


「……今尾と上野はもう、広瀬をいじめることはないよ。警察に逮捕されて、多分学校も退学になるだろうから」


私がそう言うと、広瀬は少し安堵したように見えたけど……すぐに険しい顔になって。


「あ、あのさ。勝手なことしないでくれないかな。それって僕を騙していた罪滅ぼしのつもり!? 警察に逮捕されても、退学になっても、それを逆恨みしてやって来たら、僕は次こそ殺されるよ! こんな骨折じゃ済まないんだ!」


まるで突き放すかのように責め立てる広瀬に、私が言えることは少ない。


騙していた……と言われると、私としても何も言えないから。


だけど、そうじゃない。


「だったら、強くなってよ。あいつらが逆恨みしてやって来るまでに、どんな力でもいいから付けて、強くなって跳ね除けてよ! そうじゃなかったら私は……安心して死ねないよ」
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