桜が咲く頃に、私は


「お前ら、そこに正座しろ」


アパートに帰るなり、夢ちゃんが鬼の形相で私達を出迎えて、部屋で正座をさせられた。


あまりの恐ろしさに、空も私も反論なんてする気にもなれずに、言われるままに。


「まず、こんな時間まで何してたわけ? 誰と! どこに行って! 何をしていたのか! 吐いてもらうからね」


とんでもない迫力に、私は空を肘で突いて説明してもらうことしか出来ない。


「えっと……なんだ。過去に忘れて来た物を取りに行ったと言うか……決着をつけてきたと言うか」


あまりにも言ってることの意味がわからなさ過ぎて、夢ちゃんがイライラしているのがわかる。


「今、何時かわかってる? もうすぐ日が変わるの! 二人ともまだお風呂に入ってないし、洗濯物どうするのよ! 私の睡眠時間がなくなるんだけど!」


「そ、それに関しては私がやっておくから、夢ちゃんは寝ててくれたらいいよ。うん、責任もってやっとく」


慌てて私がそう言うと、今度は私を睨み付けて。


「お姉ちゃん、まさか私との約束を破って広瀬さんの復讐に行ったわけじゃないよね? 言ったよね? そんな危ない人達に手を出したら、家から出て行けって」
< 188 / 301 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop