双子ママになったら、エリート心臓外科医の最愛に包まれました
その後、なんとか気持ちを落ち着かせてから子供たちを迎えに行った。いつもならばどんなに落ち込んでいても子供たちの無垢な笑顔を見れば元気になれるのに、今日は違う。

またこの子たちから父親という存在を取り上げることになってしまうかもしれないと思うと、胸が張り裂けそうだ。

それでも明るく振る舞い続け、子どもたちのご飯とお風呂を済ませて眠りにつかせた。

静まり返ったリビングに私の重たいため息が漏れる。

張り詰めていた糸がプツリと切れたように頬を涙が伝う。せめてもの救いは今日は蒼斗さんがホテルに泊まることになっているため、家には戻ってこないこと。

今日はさすがに彼の前で普通にできる気がしない。

彼の顔を見た途端、いろんな感情が沸きあがってきて、きっと泣いてしまうだろう。

ひとまず彼が帰ってくる明日までに気持ちを落ち着かせ、これからどうすべきなのか冷静に考えなくては。

ガチャッ──

「ただいま」

「……っ!?」

ひとりで考え込んできた矢先、玄関のドアが開く音とともに聞きなれた声が耳に届き、心臓がドクンと跳ねた。
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