セカンドマリッジリング ―After story—


 意味深な真由莉(まゆり)の言い方に花那(かな)は嫌な予感を覚える、どう考えても彼女のそれは自分にあてつけた言葉だとしか思えなかったから。
 好かれていない、歓迎されてない妻だということくらい花那だって嫌と言うほど分かってはいたが……

「見てよ、花那さん。この写真の女性、とても華やかな美人で素敵だと思いません? 由緒ある家柄の方で、深澤(ふかさわ)の家とも釣り合いが取れる。颯真(そうま)兄さんには……()()()()()じゃなきゃやっぱり似合わないと思うのよ」
「……」

 つまり真由莉は自慢の兄に花那は似合わない、それを自覚して身を引けとでも言いたいのだろう。どれだけの事を言われるかと覚悟しては来たが、やはり傷付けるために発さられる言葉には鋭い棘があるように感じる。
 真由莉は自分が思ったように花那が落ち込む様子を見ると気を良くして、もっと残酷な言葉を選んで話そうとする。自分は颯真のために正しい事をしていると思い込んでるため、花那に対する遠慮もなかった。

「この女性だけじゃないわ。ほら……この人も、こっちの可愛らしい方も颯真兄さんのお嫁さんに相応しい相手だと思いません。こうしてみれば花那さんとは比べるまでもない、それくらい流石に分かるんじゃないですか?」
「……それは、真由莉さんの意見ですよね?」

 真由莉の言いたいことくらいは分かる、だからと言って「はい、分かりました」と素直にいう事を聞くつもりなど花那にはなかった。嫌われるよりは好かれたほうがいい、それでも家柄や容姿などにしか興味のない真由莉や颯真の両親に認められる事は難しいだろう。
 花那は今の自分が颯真のために出来ることを、一生懸命考えて言葉にしなくてはならなかった。


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