「affair」
目の前の結城先生は、何処か私を馬鹿にしたような笑みを浮かべている。


「昔、俺が言ったんだ。
美織に、沢田が俺の事をよく見て来るって」



そうか。


それで、美織さんが私の結城先生への気持ちを知っていたのか。


誰にも知られていないと思った思いは、結城先生本人には知られていて。


美織さんも、そうやって知っていて。


清太も、それに気付いていた。



「ずっと、気味悪いと思ってた。
そうやって、お前に見られてて。
こいつ、彼氏居るだろ?って。
ただたんに、軽い女なのか?って、
そう思ってた」


「私は、今も昔も、結城先生が好きなの」


その言葉に、結城先生は声を出して笑う。



「そうか。それで美織の手下になって、俺に抱かれて。
俺と会う日は、美織に連絡でもしてたか?
この日のこの時間に会うからって。
そうやって、美織に証拠を押さえるように言って、興信所の奴らをはらせて」


本当に、結城先生は全てを知っている。


この人が言うように、私は美織さんに結城先生との全てを話していた。


そうやって、証拠を押さえやすくするように。


「そういや、こないだ高畑と会ったんだよ。
偶然だったけど」


それは、いつだろうか?


「最近、お前と別れたって言っていた」



私はこの人に、清太と離婚した事は話していないので、
本当に、結城先生は清太と会ったのだろう。


「聞いたら、高畑の浮気が原因で離婚したみたいだけど。
なんだか、聞いてて高畑が不憫で。
絶対に、お前に嵌められたのにって」


結城先生の顔は表情を無くしたように冷たくて。



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