門限やぶりしようよ。
 私は暫し悩んだ。優とこのまま一緒に居たい。けれど、親に心配かけたい訳ではない。面倒な警察沙汰になるのも避けたい。そしてある友達に、アリバイを頼むことを思いついた。

 実は彼女には何度か、こういうアリバイを作る手伝いをお願いされたことがある。だから、頼みやすかった。お互いに助け合う流れ。家に遊びに来ていたけれどもう寝てしまっているから、こちらで泊まらせるという嘘の連絡をしてもらうのだ。

 そう解決法を閃いた私は急いで文面を認め、彼女に連絡をした。即、返って来た返信に安堵して微笑む。

「誰に連絡してるの?」

 集中してスマートフォンの画面に見入っていた私は、背後に優が居たことに気がつかなかった。

「友達……今日、その子の家に泊まったってことにしてくれないかって」

「ふ。育ちの良いお嬢様同士でも、そういうのあるんだな。向こうはなんて?」

「頑張ってって」

 優は吹き出して、ベッドに仰向けになりながら明るい声で笑った。

「うん。琴音、頑張ろうね。俺もすっごく頑張っちゃう」
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