門限やぶりしようよ。
「お互いにわからないことばっかりだよ。もしかしたら、がっかりさせちゃうかも……」

「俺も、こういうのは人生で初めての体験だからわからないけど、人を愛することに時間なんか何も関係ないとわかった。確かにわからない事ばかりだけど、何かを知ったからと言って愛することにはきっと変わりない……俺は、これから琴音に相応しい男になって、絶対に迎えに行く。それだけが俺を支える。だから、絶対に嘘じゃないよ。愛している。琴音」

 彼の言っていることは、非現実的で愚かなことだ。若さゆえの青い間違いだ。そう私たちを知らない誰もが評するかもしれない。それをわかっていながらも、信じてしまう。暗闇の中落とされた、縋り付くための光る蜘蛛の糸。何かの罠で切れてしまうことを恐れながら、私は登っていく。

 何も応えることの出来ぬまま、見上げたままの私を彼は愛しそうに見た。そうして、水音をさせて動き始めた。

 最初は違和感のあった行為も、すぐに慣れてしまった。私の体は彼の執拗なまでの愛撫で快感でとろとろにされていたし、何よりも私自身が与えられるものを受け入れたがっていた。
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