身ごもり一夜、最後のキス~エリート外科医の切なくも激しい執愛~
「やだもう門脇先生、ご婚約おめでとうございます。知りませんでしたよ」
「柴山さん。ありがとうございます」
父が英知先生のことを気に入っていると言ったが、それは柴山さんも同じだ。
忙しくても冷静で笑顔を絶やさない英知先生は誰にでも好かれる。
手が回らなくなると口調がキツくなる父なんかは、患者さんに「門脇先生を見習って」と冗談を言われるほどだ。
まだ三十歳で医師としてはとても若いのに、これほど父に認められているのはすごい。
「からかわれてたの? 星来ちゃん」
私へのフォローも忘れず、笑顔を向けてくれた。
「いえ、お祝いしてもらっていました」
「それはよかった」
「あ、英知先生。渡したいものが」
つい下の名前で呼んでしまい周囲が「ラブラブ」とつぶやく中、私はカーテンで仕切られた控え室へ急いで入った。
十個のロッカーとハンガーラック、傘立てが設置された部屋で、事務の職員はここで着替える。
そこに置いていた保冷ポーチを取って戻る。
英知先生は「おっ」とおどけた顔をして、
「もしかして」
と笑う。
「お弁当です」
「うれしいな、ありがとう」
太陽とチューリップの模様の手提げを手渡した。
「柴山さん。ありがとうございます」
父が英知先生のことを気に入っていると言ったが、それは柴山さんも同じだ。
忙しくても冷静で笑顔を絶やさない英知先生は誰にでも好かれる。
手が回らなくなると口調がキツくなる父なんかは、患者さんに「門脇先生を見習って」と冗談を言われるほどだ。
まだ三十歳で医師としてはとても若いのに、これほど父に認められているのはすごい。
「からかわれてたの? 星来ちゃん」
私へのフォローも忘れず、笑顔を向けてくれた。
「いえ、お祝いしてもらっていました」
「それはよかった」
「あ、英知先生。渡したいものが」
つい下の名前で呼んでしまい周囲が「ラブラブ」とつぶやく中、私はカーテンで仕切られた控え室へ急いで入った。
十個のロッカーとハンガーラック、傘立てが設置された部屋で、事務の職員はここで着替える。
そこに置いていた保冷ポーチを取って戻る。
英知先生は「おっ」とおどけた顔をして、
「もしかして」
と笑う。
「お弁当です」
「うれしいな、ありがとう」
太陽とチューリップの模様の手提げを手渡した。