身ごもり一夜、最後のキス~エリート外科医の切なくも激しい執愛~
「天気が悪くなってなかたから迎えに行こうと思ってたんだ。連絡見なかった?」
優しげな目もとをさらに垂らして、彼は言った。
そこで初めてスマホを確認し、十分前に送られていた【車で迎えに行くよ】というメッセージを目にする。
「気づきませんでした。すみません」
「嵐になる前でよかったよ」
嵐の予兆を受け、大通りを歩く人たちは足早になっていく。
英知先生はほとんど物の入っていない私のポーチを受け取り、「さあ入って」とエントランスへ押してくれた。
目前の景色は雨の降りそうな大通りから、大理石の明るい内装へと切り替わる。
並んでそこへ入るというとき、英知先生が足を止めた。
背中から手のひらが離れたため、私は不思議に思って彼を振り向く。
「英知先生?」
彼は背後の歩道へ視線を向けていた。
私をそちらへ目を向ける。
「日比谷先生」
先に名前をつぶやいたのは英知先生だった。
アキくんが立っている。
彼は目を開いてこちらを見つめた後、一度ゆっくりと目蓋を閉じ、今度は鋭い視線で私たちを見つめる。
「アキくん」
仕事終わりの、スーツ姿だ。
ここを通りぎたところにあるアキくんのマンションへ帰宅途中なのだろう。
優しげな目もとをさらに垂らして、彼は言った。
そこで初めてスマホを確認し、十分前に送られていた【車で迎えに行くよ】というメッセージを目にする。
「気づきませんでした。すみません」
「嵐になる前でよかったよ」
嵐の予兆を受け、大通りを歩く人たちは足早になっていく。
英知先生はほとんど物の入っていない私のポーチを受け取り、「さあ入って」とエントランスへ押してくれた。
目前の景色は雨の降りそうな大通りから、大理石の明るい内装へと切り替わる。
並んでそこへ入るというとき、英知先生が足を止めた。
背中から手のひらが離れたため、私は不思議に思って彼を振り向く。
「英知先生?」
彼は背後の歩道へ視線を向けていた。
私をそちらへ目を向ける。
「日比谷先生」
先に名前をつぶやいたのは英知先生だった。
アキくんが立っている。
彼は目を開いてこちらを見つめた後、一度ゆっくりと目蓋を閉じ、今度は鋭い視線で私たちを見つめる。
「アキくん」
仕事終わりの、スーツ姿だ。
ここを通りぎたところにあるアキくんのマンションへ帰宅途中なのだろう。