絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「……レリウス様、昼餐の初めに私はネコの一般論を語りましたが、そもそもヤマネコというのはネコという括りの中では特殊なのです。個体数が少なく、人里に下りてこない特性もあり、いまだその生態に謎が多い。殊に〝魔窟の森〟に住まうヤマネコに関しては、動物学者でさえほとんど情報を持っていませんでした」
「まさかお前、わざわざ動物学者の元を訪ねたのか?」
 レリウスさまが驚いたように尋ねた。
「いえ。知人がたまたま王立学術研究所で動物学の主席研究員をしておりまして。先日、偶然会う機会があったので、聞いてみただけです」
「……以前から思っていたが、お前はやたらと方々に顔が利くな?」
「そんなのは、たまたまですよ。その知人が〝魔窟の森〟のヤマネコについて学者らしからぬ面白い見解を述べていましてね。これは彼が独自に唱えた私見なのですが、レリウス様は存外、気に入るかもしれません」
「ほう?」
 レリウスさまは興味を引かれた様子で、ユーグさんを見返した。わたしも気になって、ユーグさんの続く言葉に耳を傾けた。
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