絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「ああ! すまんが俺の不在中、部隊を頼んだ」
 俺はユーグに後のことを任せると、手持ち式のランプと俺の割り当ての携帯食を掴み上げ、相変わらずぐったりとしたままのルーナを抱いて走りだす。
 今回の征伐にあたり、この森を含む進行予定ルートの近辺は、綿密な事前調査を行っている。当然、調査報告であがってきた内容は地理地形も含め、すべて記憶済み。ここから三百メートルほど西に行ったところに、地図にも載っていない地下貯蔵庫の入口が大木の根に隠されるように存在することも、しっかり脳内に叩き込まれていた。
 俺は迷いのない足取りで山道を進んだ。
 ……ここだな。
 落ち葉をかき分けたら、大木の根のすぐ横に入口の扉が現れた。特に鍵などはなかったが、古い金属製の扉は軋み、開けるのに少し力が必要だった。
 扉が開くと、ルーナをマントに包んで懐に抱き、ランプで足もとを照らしながら体を中に滑らせた。
 そのまま慎重に地下に続く階段を下りていく。二メートルほど下り、五メートル四方の空間に行き当たった。
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