絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
《ふみゃふみゃ(聞いてレリウスさま、部隊に裏切者がいるの! コリンが狼煙で、征伐部隊の接近をワーグナー筆頭大臣にバラしちゃってる!)》
 ルーナがよたよたと俺の後を追い、必死な様子でなにごとか訴えていた。
「すまんが今は征伐を控え時間がないんだ。俺が迎えに来るまで、ここでじっとしていてくれ」
《みゃああ(待って。わたしの話を……そうだ、コリンの名前! わたし、ここに【Colin】って書くから、ちょっとだけ見てて!)》
 ルーナはハッと気づいた様子で地面に前足をあてるや、半円を描く。さらにその隣に、小さな丸を描き始めたが、これ以上見守っているのは時間的に限界だった。
「すまんな、ルーナ。詫びは後でゆっくりさせてもらう。今は時間がない、行かせてもらうぞ」
 ルーナが俺にこんなに必死になってなにか訴えてくるのは初めてで、その声に耳を傾けてやりたいのは山々だった。しかし今は、いかんせんその余裕がない。
《みゃぁあ――(だめぇ! 行ったら危ないから――)》
 ――バタンッ。
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