絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 あっ! 突然、レリウスさまの胸にギュッと抱きしめられて、苦しさに息が詰まった。
《ふみゃぁ(レリウスさま……?)》
「……ルーナ、お前はその姿の時でも俺の言葉がわかっているのだろう? ならば、俺の想いを聞いてくれ」
 レリウスさまはここで言葉を区切ると、一拍の間を置いて続けた。
「俺はもう、お前なしの人生など考えられない。ネコの姿のお前も、人間の姿のお前も、どちらのお前も愛しているんだ。どこにも行くな。そして、俺の妻になってくれ」
 ……レリウスさまはいったい、なにを言っているの? だってわたしは魔物で……。
 すぐには理解が追いつかず、わたしはしばし呆然としながら、レリウスさまの瞳に映る自分の姿を見つめていた。
 ふわふわの毛からちょこんと顔を出す三角耳にぺちゃんこの鼻、ピンと伸びたおひげ。目の前に映った自分は、ネコ以外の何者でもない。月が出ている夜の間は人型を取るとはいえ、一般的な夫婦のような日常は到底望めないだろう。
 そんなわたしが、レリウスさまに妻として望まれるなんてあるのだろうか……?
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