絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 わたしがパカパカと心地いい馬脚のリズムを感じながら周囲を見回していたら、頭上でレリウスさまが思い出したようにつぶやいた。
《ふみゃ(あー、家令のおじいちゃんね……。おじいちゃんの腰はさ、あの湿布できっとすぐ治っちゃうよ)》
「それにしても、ルーナは知識が深いのだな。炒った麦ぬかを湿布に混ぜるなど初めて聞いた」
《みゃっみゃ(前世でそういう自然派のグッズが流行ってただけで、医学的な根拠はないよ。でもミネラルいっぱいのぬかは、絶対毒にはならないからさ)》
「ふむ、おそらく謙遜しているのだろうが……。その声の意味、あまさずすべて知りたいものだな。お前が人型を取る夜が待ち遠しいぞ、なぁルーナ?」
 同意を求められたが、わたしは即答せず少し考えてみた。
 ……人型も嫌じゃないけど、なんだか落ち着かないんだよなぁ。昨日の夜もだし、今朝だってドタバタだったし……。
 わたしは遠い目をしながら、束の間、ドタバタだった朝の一幕に思いを馳せた――。

 あれは、東の空に太陽が顔を出す直前のことだった。
 ――コンコン。
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