絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 そうこうしているうち、わたしたちはカフェと守衛門の前を通過して、ついに王宮の正門に辿り着いた。
《ふみゃ~っ(わぁ~、白亜のお城だ……!)》
 パターン装飾された金の格子門の隙間から覗く豪華なお城に心が踊る。
 わたしが王宮に来るのはこれが初めてだけど、その美しさは屋敷の使用人たちの会話で幾度となく耳にしていた。なんでも、カインザー王宮は上宮と下宮のふたつの絢爛な建物からなり、南北に建つふたつの宮に囲まれた噴水庭園が最高に美しいのだとか。
 これを聞いてから、わたしはいつか見学に来る日を夢見ていたのだ。
 ――ギィイイ。
 ん? 両開きの門が、わたしたちの到着を待ち構えていたかのように、中から引き開けられる。
「レリウス様、お待ちしておりました。まずは此度の征伐成功、お慶び申し上げます」
 中から黒い礼装を品よく着こなした初老の男性が現れて、丁寧に腰を折って出迎えの挨拶を口にした。
「執事長、固い挨拶は抜きで頼む。むず痒くていかん」
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