絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
「ほほほ、レリウス様は相変わらずでいらっしゃる。……では、馬をこちらでお預かりいたします。レリウス様はどうぞ中に。王は既に応接室に待機されております」
 執事長は懐かしむような目でレリウスさまを見つめ、柔和に微笑んだ。
 ……なんだろう? わたしはふたりの会話に僅かな違和感を覚えていた。
「ああ、馬を頼んだ」
 レリウスさまはわたしを抱いたままヒラリと愛馬を降りると手綱を執事長に渡し、案内を待たずにツカツカと王宮の玄関に向かって歩きだす。
 ……えっ!? 勝手に行っちゃって、怒られちゃわないの?
 王宮を訪問しているというのに、あまりにフランクなレリウスさまの態度にわたしは内心でハラハラしていた。
 わたしの心配をよそにレリウスさまは慣れた様子で上宮の玄関を入り、廊下をツカツカと進む。行き合う使用人らは怒るどころか、皆、レリウスさまの姿を見るや廊下の端に寄り、丁寧に頭を下げて通り過ぎるのを待った。
 ぇええ? どういうこと??
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